滋賀県における新型コロナ下水サーベイランス

下水サーベイランスとは

  • 感染症ウイルスに感染した多くの人は、鼻や口からウイルスを放出するだけでなく糞便中にもウイルスを排出しています。糞便中のウイルスは屎尿とともに下水処理場へ集まります。下水中のウイルス量を調べることで下水処理場の集水域の感染流行の状況を把握することを下水サーベイランス(または下水疫学調査)といいます。
  • 新型コロナに関しても、下水中の新型コロナウイルス濃度を調べることで、感染しているが無症状のために医療機関を受診していない人(不顕性患者)や、症状があっても検査を受けていない人も含めた地域の流行の全体像を把握することができると考えられます。
  • 特に、令和5年5月に医療機関における全数把握が見直されて定点把握に移行したことで地域の流行の全体像を把握するのが困難となる場合などに、下水サーベイランスによる流行の早期検知、全体像の把握は有効と考えられます。
  • 京都大学大学院工学研究科附属流域圏総合環境質研究センターでは、これまで行ってきた下水中の病原微生物調査研究の一環として新型コロナに関する下水サーベイランスを行なっています。

新型コロナウイルス下水サーベイランス調査結果

下水中ウイルス濃度は先週から増加しました。
(データ更新:5月7日採水日まで。サイト更新:5月10日)

*「下水中新型コロナウイルス濃度 [コピー/L]」(青色実線)は週ごとに県内複数の下水処理場から得られた下水サンプルを繰り返し分析をした濃度データ(下水1LあたりのRNAコピー数)の幾何平均を表示。
**「定点あたり新規感染者報告数」(緑色棒グラフ)は滋賀県定点医療機関(60医療機関)から報告された新型コロナウイルス感染症新規感染者数の定点あたり1週間合計を記載。データは滋賀県 健康医療福祉部 健康危機管理課より取得。

下水中から新型コロナウイルスへの感染リスクに関して

下水サーベイランスで測定しているのはウイルスの遺伝物質(RNA)の一部であり、下水からのウイルス検出が必ずしも感染性ウイルスの存在を意味するものではありません。多くの研究から、下水中の新型コロナウイルスの大半は既に感染性を失っていると考えられます。世界保健機関(WHO)も「感染者の糞便から新型コロナウイルスに感染するリスクは低い」と公表しています。

また、国土交通省の調査では、下水処理場での処理過程における新型ウイルス遺伝物質の除去効率は高く、100分の1以下まで減少することが報告されており、放流水からの感染リスクはほぼないと考えられます。

京都大学下水サーベイランス調査体制

  • 京都大学大学院工学研究科附属流域圏総合環境質研究センターでは、これまでの研究調査の成果をもとに、令和5年8月より滋賀県における下水サーベイランス調査データの公開を開始しました。地域住民に新型コロナの流行動向の情報提供を行うこと、および下水サーベイランス調査一般に関して知ってもらうことを目的としています。
  • 下水サーベイランス調査は、2022年1月より、滋賀県内複数の下水処理施設(湖南中部浄化センター、東北部浄化センター、湖西部浄化センター、高島部浄化センター、および大津市水再生センター)において実施しています。調査結果は、定期的に滋賀県や大津市とも共有し、より効果的なデータ活用の検討をおこなっています。
  • 京都大学による下水サーベイランス調査は、高知大学、株式会社日吉、株式会社ウォーターエージェンシーの協力によって実施しています。下水中のウイルス濃度の測定は、株式会社日吉がqPCRを用いた測定により実施しています。調査は、滋賀県中小企業新技術開発プロジェクト補助金、内閣官房実証事業JST未来社会創造事業の助成を受けて実施しています。
  • 京都大学下水サーベイランスHPでは、国交省事業および内閣官房実証事業の一部として取得された滋賀県内処理場における下水サーベイランス調査データも活用しています。
  • お問い合わせ:
    京都大学大学院工学研究科附属流域圏総合環境質研究センター
    環境質予見分野
    Email: surveillance-rceqm@biwa.eqc.kyoto-u.ac.jp
  • 環境質 管理分野
  • 環境質 予見分野
  • 環境質 監視分野
京都大学
京都大学 工学部・工学研究科

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